ラバーダム防湿で必要な器具

2022.12.6

ラバーダム防湿法をご存知でしょうか。カタカナを並べられると、ちょっと首をかしげてしまう人も多いかもしれません。でも、このラバーダム防湿法は、とてもすぐれた歯科治療法の一つなのです。

そこで、このラバーダム防湿法の基礎知識と、使う器具について解説します。

ラバーダム防湿法とは?

ラバーダム防湿法とは、治療する歯以外を、ゴム製のシートでマスクのように覆い「かぶせることで、口の中の細菌や、唾液に含まれる細菌が治療する歯の部位に流れ込むのを防ぐことで、感染しにくくするための方法です。

特に、炎症してしまい、細菌に侵食されてしまった歯髄という歯の神経を抜いて、きれいに清掃し、後に消毒をして再感染を防ぐ「根管治療」において、大いに有効といわれています。

日本ではまだ一部の歯科医院でしか行われていないものの、アメリカではほとんどの歯科医院で行われている方法だといわれています。

ラバーダム防湿で使う器具

このラバーダム防湿では、どのような器具が使用されるのでしょうか。
一般的にはラバーダムシート、ラバーダムパンチ、クランプ、クランプフォーセップス、デンタルフロス、ヤングのフレーム、ラバーダムクランプホルダー、ダムレジン、光照射機、ダムフィックス、ラバーダム撤去用ばさみ、ラバーダムテンプレート、ラバーダムナプキンを準備します。

詳しくみていきましょう。

ラバーダム

ラバーダム防湿に用いる薄いゴム状のシートです。形は正方形であることが多く、厚さはさまざまです。
シートの色も黒や青など、さまざまなバリエーションがあります。
ラテックスアレルギーのある方には、ノンラテックスのシートを使用します。

ラバーダムパンチ

ラバーダムシートに穴をあけるための用具です。
ラバーダムシートパンチとも呼ばれます。
歯の大きさにあわせ、5~6種類の穴があけられるようになっています。

クランプ

治療する歯の周りを囲むようにして、ラバーダムを固定するための金具です。バネ上になっていて、金属の金具を歯に挟むようにして使用します。形は一つではなく、治療する歯によって選び分けられます。弾力のある金属でできており、リテーナー、リトラクターとも呼ばれます。
メーカーによって、大臼歯、小臼歯、前歯用などのさまざまな型があります。
歯肉圧排用、防湿綿花保持用などの特殊なものもあります。

歯の形態(例 上顎の中切歯、小臼歯、上顎の大臼歯、下顎の大臼歯など)によって違う形態のクランプが必要です。

フレーム

ラバーダムの膜をピンと張り巡らせるための金属や樹脂の枠です。

クランプフォーセップス

歯にクランプを装脱着するときに使用する鉗子です。クランプの左右に空いている小さな穴に鉗子のくちばし部分を入れ、クランプをホールドします。

デンタルフロス

通常は歯と歯の間のプラークを除去するときに使用するデンタルフロスですが、ラバーダム使用の際、ラバーダムに開けた穴を歯にしっかりとフィットさせる時にも用います。

ラバーダムフィックス

2歯以上の歯に同時にラバーダムをかける場合、ラバーダムフィックスを用いて、ラバーダムを歯に保持します。

ラバーダム撤去用ばさみ

ラバーダムシートを撤去する際に使うはさみです。
連続結紮でラバーシートを装着した場合に、その部分のラバー及びデンタルフロスをはさみで切断し、撤去を容易にします。

ラバーダム撤去用ばさみを使用せず、クランプフォーセップスを使用してクランプごとラバーダムを脱着する場合もあります。

ラバーダムテンプレート

ラバーダムシートに穴をあける際、どこに穴をあければよいのかわかりにくいことがあります。
このようなときにはあらかじめ穿孔部位を記入してあるラバーダムテンプレートを使用します。

テンプレートに従って穴をあけることで、どこに穴をあければよいかが正確にわかるようになります。

ラバーダムナプキン

ラバーダム防湿を行う際に、ラバーが直接口腔の周囲に接触することを嫌がる患者さんもいます。また、ラバーによって皮膚が荒れてしまう患者さんもいます。
そういった場合には、ラバーと口腔周囲との間にラバーダムナプキンと呼ばれるペーパーを挟み込みます。代わりにフェイスタオルを使用することもあります。

ダムレジン

ラバーダムを装着した歯とクランプの間から唾液が漏れてこないように、ソフトタイプの樹脂にて隙間を埋めます。

光照射機

クランプと歯の間に流したダムレジンを固めるために使用します。

ラバーダム防湿は自由診療が多い

このラバーダム防湿は、根管治療の成功率が上がるものの、一方で、日本では保険の適用があっても実質無料となっています。そのため、ほとんどの場合、保険診療では使用されず、自由診療で行われています。

ラバーダム防湿は、平成20年に保険点数の項目が廃止になり、ラバーダム防湿を行っても、歯科医院は赤字になってしまうばかりになりました。「それくらい無料でやってくれてもいいのでは?」と思うかもしれませんが、ラバーダム防湿で使用する器具の価格や準備にかかる労力なども加味すれば、なかなか実施がむずかしいのが現実です。

ぜひ根管治療を受ける際には、確実に治療したいのであれば、ラバーダム防湿をぜひ積極的に受けたいものです。メリットも多く、丁寧な治療で、治療後も安心して生活ができるでしょう。

しかし、自費診療となることが多いため、費用的な負担が必要になることは覚えておいたほうがいいでしょう。費用は歯科医院によって大きく異なるため、必ず事前に確認してから治療を受けるのをおすすめします。


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